黒松の芽切り
適期 6月下旬〜7月上旬  作業日:6月27日


6月下旬から7月上旬は黒松と赤松の芽切りの適期です。皆さんはもう作業されましたか?

春先から伸びだした黒松や赤松の新芽をこの時期に元から切り取る作業を「芽切り」または「短葉法」といいます。

芽切りを行うことによる効果を挙げると大きく分けて以下の3点になります。

1.枝数を増やす
2.葉を短くする
3.芽の力を調整(均等化)する

芽切りの原理は、春から伸びだした新芽を元から切り取ることによって、その芽に蓄えられた力が分散化されるというしくみに拠ります。その結果、後から伸びだす二番芽は複数出ることによって枝数が増え、葉の長さも半分以下に短くなるのです。

しかし、それだけでは、元から力の強い芽は強いままで、弱い芽は弱いままです。ここで大切なのは、3.の芽の力を均等化させることですが、それは芽切りと同時に古葉の数を調整することによって達成することができます。

大物盆栽では芽の力の強弱に大きな差があるので、力の弱い芽は先に、強い芽は後に行う、芽切りの作業に時間差をつける「複数回芽切り」を行うことが多いですが、小品では芽の力の強弱にそこまで差がないので、一回で芽切りを行う「一度芽切り」を行い、芽の力の調整は古葉を調整することにより行います。

芽切りをいつ行えばよいかという、適期の決定は、樹種や樹の樹齢、その年の天候によっても左右されます。
芽切りは速く行うほどその後の成長期の間に伸びる時間が長くなるため、葉が長くなり、時期が遅ければその逆となります。そのため、芽の力が弱い古い樹や、黒松ほど葉を短くする必要のない赤松は少し早めに(だいたい6月下旬)に芽切りを行います。また、天候によっても気温があまり上がらない年や日照時間が短い年は芽切りを少し早く行います。

では早速実際に黒松を用いて芽切り作業をみてゆくことにしましょう。


芽切り前の黒松(ほぼ完成樹)。

頭部の芽の葉が長く、力が強いのが分かる。
芽切り前の新芽
今年伸びた新芽の付け根に鋏を入れ、切り口が水平になるように切る。
全ての芽を元から切り取った状態。
切り取られた芽達。

小品の松では、少し芽の力に差があっても一度で芽切り作業を終わらせてしまう。
新芽があまり伸びていない芽や眠り芽(左)がある状態
このような芽でも軸が太く、十分樹勢がのっている樹では、芽切りを行う。
さらに、昨年度の古葉をピンセットで抜く。

頭部や勢いの強い芽では(芽の強弱は伸びた葉や軸の長さや軸の太さで判断する)3枚(とても強い芽で2枚)、中ぐらいの強さの芽で4枚、フトコロや下枝の弱い枝で5〜6枚残す。
写真のようなあまりにも弱い最下部の芽。
このような芽は芽切りを行わず、古葉のみを取り、新葉を少し抜いて数を減らし、長すぎる葉を鋏で切っておく。
頭部の芽切りと古葉調整を行った状態
全体の作業が終了した状態。

このように枝(芽)の力に合わせて、葉量を調整することにより、樹全体の芽の力を均等化するように努めるのが芽切りのコツです。